2013年5月21日火曜日

今年のハード整備その1

今回は城守ではなくて本業のお話です。

宇和島城では、平成9年から国から補助を受けて、
石垣修理などを継続的に実施しています。
今年は国政の関係で、補助決定が遅れていましたが、
5月15日付で補助決定となり、
本格的に今年度事業が始動となりました。

今年は、昨年度崩壊した箇所の復旧と
平成16年度から取り組んでいる代右衛門丸と式部丸の整備が
主なハード整備事業です。
今年こそロケットスタートと行きたいところですが、
いろいろと問題を抱えてます(._.)


今日は式部丸の整備箇所について取り上げます。
整備する箇所は、上の図でピンク色の二重丸がついているところになりますが、
虎口(こぐち)という、出入り口の整備になります。
下の写真は虎口の今の様子を正面から撮った写真です。


ここは、私が入庁したころは柵があり、木が生い茂って、土砂もかなりたまっていて
向かって左上の石垣も壊れていて、立ち入り禁止になっていました。
最初の予定では、後世のものを撤去して、危険な石垣を修理すれば、
通行できるようになると思っていたのですが、そうはいきませんでした…
下の写真はその左上の石垣とその下に埋没していた石垣の写真です。


ここの石垣の構造は複雑なのですが、まず埋没していた石垣を
小さな谷状の窪地を埋めるように築いたのち、
その上に石垣を築いて、さらにその上に
城内では最高となる15mほどの石垣を築いています。
時代としては宇和島城内では古層の石垣で、
藤堂高虎の築城期の慶長段階のものと現時点では考えています。
ただ、3段目の石垣は幕末に大掛かりに改修されてます。

壊れていた石垣の落ちそうな部分は昨年度解体しましたが、
いちばん大事な隅石の最下段の石(根石(ねいし)といいます)が、
表からは見えないところで割れていて、
さらに今年解体範囲を広げなければいけません。
また、埋没していた石垣がその大半が崩落して、
部分的に根石が残っている程度です。
写真左半分に見えるのがそれです。
発掘調査の結果、右半分にも石垣が続いていたことがわかりましたが、
その基盤となる岩盤から崩落してしまっていて、その修復方法に難儀してます…

崩落岩盤の代価構造物の検討、完全に崩落してしまった石垣姿図の作成、
排水処理などなど工事面積は大した数字ではないのですが、
問題は山積みです…。

頭で考えていても、現場で単に眺めていても、妙案は浮かびませんので、
図面を引いて、現場で確認して、また図面を引いての繰り返しです。
とにかく手足を動かすのみ!早く発注にこぎつけなくては…!(^^)!

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